一
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「なんとか、巧く切り抜けられましたね」
男の問いにアリーナは頷く。クリムゾン本部に赴き、治療薬と予防用のワクチンを人数分確保するまでは良かった。だが、その後はどこから湧いて出てくるのか、盗賊、夜盗の群れ、群れ、群れ。
しかし、バーンハルトが鍛え上げた屈強な精鋭達は、副官であるアリーナを中心にして、その危機を切り抜けてきたのだ。
七名の部下が命を落としてしまったのは悔やむべきことだが……あれだけの人数が一斉に、もしくは予想もしていない地点での奇襲を掛けられ続けたのだから、七名の犠牲で済んだのは僥倖だろう。
だが皆、疲労していることに違いはない。
故に、本隊との合流地点に戻って来れた時は皆、安堵した。
「お疲れ様です、アリーナ中尉」
「本隊の預かり、ご苦労様」
他の兵士達は武装を解き、水筒に残された水を飲んだり、テントに入って休息を取り始めていた。
「それで、薬の方は?」
アリーナはワクチンを運ばせてきた輸送車を目配せする。
問いに答えながらアリーナは疑問に思う。
この場に集まっている本隊の人数が十数名前後多い気がする。本来なら村の周辺で小隊をつくり警戒にあたらせ、その交代要員の為に休憩している者がいるはずなのだ。それでこの人数は少々多い。
加えて村々の周辺で警戒しているはずの兵の気配が感じられない。