二
二
「ところで、隊長から連絡は?」
「いえ、今のところは、特にありません」
そう、と答えながらアリーナは思考する。
なぜ周囲に展開しているはずの部下の気配が感じられないのかを。
「では、薬は我々がお届けいたします」
「待ちなさい」
男が背後を振り返ろうとした時にアリーナは声をかける。
「隊長がお戻りになられてからでも不都合はないでしょう。それに兵の休憩が必要です」
機先を制するように彼女は言う。
脳裏には一つの可能性が浮かんでいた。
目の前の人物はバーンハルトの部下ではないのではないか、と。
男の剣から僅かな血の匂いが嗅ぎ取れる。
アリーナが思い浮かべている可能性が現実のものならば、これらの状況は全て説明出来る。
これは今までの経験上では無い危機だ。いつまでも自分が気付いていないふりをしていても、バーンハルトが戻ってくるまでには彼等が動き出すということは容易に推測できた。
しかし、残酷に眼前の男は告げた。